
現在、日本では15歳から64歳までの幅広い年齢層において、いわゆる「ひきこもり」と呼ばれる、家庭内に留まり外部との交流が極めて限定される人が、推計146万人存在しています(内閣府調査より)。
特に40代・50代の「中高年ひきこもり」が増加しており、長期化・高齢化が大きな社会課題となっています。これによって生じる社会的損失(仮に全員が平均的な大卒男性と同等の生涯収入を得られるとした場合)は、約380兆円と試算されており、また、納税額も合計で約4.4兆円の損失と言われ、今後さらに拡大する可能性が指摘されています。
ひきこもり状態にある人自身やその家族が孤立しないためにも、「生きづらさ」に寄り添う支援と、回復への希望をつなぐ取り組みが急務です。
ただ一方で、ひきこもることは、繭の中で新しい自分を育てている状態だとも私は捉えています。 「ひきこもりきる」ことでようやく、「筆舌に尽くしがたい重苦しい体験」が過去となり、新しい背骨となって今を支える。さらに「未来の自分」からの観測によって今の体験に良質な意味が与えられ、その変化が希望となって他の人々へ伝播していく。ひきこもり自体をそんな価値ある状態として捉えていく考え方を、ひきこもりと回復の当事者である「私」がお話しします。
主な内容
★その状態は合っているについて
☆ひきこもりは時代の最先端について
★誰かのせい、自分のせいの効用について
☆ほんものと偽物の話
★自分以上の存在に身を預けることについて
☆十歳から自分を育てなおすについて
★揺れながら中央に収斂していくことについて
☆過去は未来で順番待ちしていることについて
★危機の通過が自分を助けることについて
☆守・破・離の観点で、福祉のレールに乗ってみることについて
★「このままでは地球になっちゃう」という悩みについて ・・など
講演内容
私が対峙してきた困難と、そこから得られた大切な知恵のお話。
こんな人に届いて欲しい
〇生きづらさを抱える当事者・家族。
〇支援の方法に悩む教育・福祉関係者。
〇深い自分資源を見つけたい演劇人など
講演でお伝えしたいこと・できること
共感と安心感:「そのままのあなたでいい」
自己肯定感の回復:「ダメでも正解」
意味の再発見:「過去は未来で順番待ちしている」
制度的支援の情報:「障害年金のリアル」
・今までの自信レベルがポーン!と上がった。
・『演じる』ことが自分の中でスーっと楽になった。
・知恵を言葉でもらい、カウンセリングを受けたみたいだった。
・胸のつっかえを解きほぐす武器をもらえた。
※ボクマク式「身も蓋もない演技入門ワークショップ」の感想より

テーマ2
『私が特例子会社(障害者雇用)の”一障害者”として、実践してきた心理的安全性のあるチーム育成の事例について』
私はデイケア→B型事業所→特例子会社(障害者雇用)を経て独立開業をしました。
その中でも障害者雇用で就労した5年間のうち、チームリーダーをしていた2年間に実践してきたチーム運営の実践を紹介します。担当指導員(管理者)に理解のある方がいたお蔭で、チームだよりや月例ミーティングは、1年半行うことができました。社長の変更で全て強制終了することになりましたが、私はそのタイミングで開業をしましたので、その後どうなったのかは分かりません。ただ、色々な取り組みを行った2年間で、居眠りをしていたメンバーが、慎重でミスのない頼りになるメンバーに。グループリーダーも3名。これまで人をまとめる経験のなかったメンバーが、急成長して全体をまとめるリーダー的な才覚を発揮。お互いの特性を知りながら、仕事を通して「自分の障害との折り合いをつけていく(メンバーの言葉)」ことを経験していきました。
私が、障害者雇用の「メンバー」、当事者として経験したことや工夫や「事業所との障害」などを、当時の「チームだより」を再現したものを使ってお話します。
月例ミーティングの実現
★管理者を含めた月例ミーティングを実現して、メンバーを中心に運営★
※管理者はあくまで参加者、スーパーバイザーとして見守る
①45分を目途。
②司会進行はメンバー
③先月の気づきと今月気を付けることを共有
④仕事上の悩みはありますか?の時間
→メンバーや管理者も入って考える時間
⑤最後の15分は哲学対話
→予めメンバーが希望した議題を配布していて、その場で挙手投票により、本日の話題決定。
→管理者も哲学対話に参加してもらう。時には業務課長にも参加してもらった。
【哲学対話お題の例】
1 気が散ってしまったり、集中できない時の対処法
2 幸せについて(今の自分の状況を幸せと感じてる?)
3 慌ててしまったときに冷静になるには
4 暑さ対策とは
5 常識について(生きる上で必須の能力?)
6 仕事中眠気を止める方法
7 なるべく早く風邪を引いたと気づく方法
などなど
毎月「チームだより」の発行
①表紙と裏表紙は、メンバーからの公募で毎月発行。表現の場をつくることを意識した
②先月の仕事ぶりと、今月の目標や繁忙期への備えなどを記事化して作成。
③メンバーへのインタビュー記事を掲載
④年末特別号では、「メンバー褒めまくり」という企画。
→各メンバー宛に今年いっぱいの良かったこと、感じたことを掲載
⑤哲学対話のお題を掲載
⑥新しいメンバーが入った時には、「○○さんへ!このチームはこんなとこ」という特集を組んで全メンバーがコメントを寄せた
障害特性についての対応
①zoomのチャンネル作成を利用
・〇〇さんの、まいにち感謝ノート
→「ごめんなさい」という自罰から「自分に感謝すること」を意識してもらう試み
→チャンネル参加は、本人、リーダー(岩﨑)、管理者
・●●さんの、王様の耳はロバの耳ノート
→愚痴や悪口など何でも書いていいチャンネル
→チャンネル参加は、本人、リーダー(岩﨑)、管理者
・△△さんの、今日やる仕事
→今日行う仕事の優先順位を記載するチャンネル
②感情が待機する家
→ペーパークラフトで作成した掌サイズの「家」を作成して、対象者の机に設置。
心が落ち着かなくなったら、名刺サイズの紙に感情を書いて、「後で相手にするね」とその家に入れておく。リーダー(岩﨑)、管理者が最後、または都度確認して、必要であれば管理者の面談を行う。
③CBTシート
認知行動療法が合う場合は、基本シートを作成して適用。
④失敗から学ぶシート
失敗の種類や内容、原因などを記載。失敗を推奨してチーム内で回覧。必要であれば月例ミーティングの議題に。
チーム内グループリーダーの育成や座席の工夫など
①自律自走を目標に、ジョブローテーションや、グループリーダーを任命。
「これならこの人!」「頼りにしてます!」
②全体朝礼の後のチーム朝礼はグループリーダーに担当してもらう
「仕事は自分事として、みんなで支える」
③スキルチェックシートを作成。どこまでならできるかを視覚化して、全員で共有。
→適時、スキルチェックを行い、上手なメンバーが他メンバーの横について、コツを教える時間をとる。
④座席についても特性や、仕事の内容に合わせて柔軟に変更(管理者と相談の上)
⑤出来るだけ自動で出来ることはPCにお任せするために、マクロでの業務効率化を実施。
⑤在宅ワークを意識して、紙からデータのみで完結するツール作成



